機関誌『水の文化』70号
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みず・ひと・まちの未来モデル
「公」の井戸の未来と「共」の空間の充実化

地域が抱える水とコミュニティにかかわる課題を、若者たちがワークショップやフィールドワークを通じて議論し、その解決策を地域に提案する研究活動「みず・ひと・まちの未来モデル」。初年度は長野県松本市の公共井戸を研究対象としました。
2021年(令和3)8月の5日間にわたる現地調査(詳細は69号参照)を終えた野田岳仁さんとゼミ生12名、ミツカン若手社員3名は、松本市内の3つの井戸について秋以降のゼミ活動で考察を深め、苦戦しつつ提案をまとめていきました。
そして、松本市役所のご協力により2021年12月23日に「松本市への政策提言発表会」という場が設定されました。野田さんとゼミ生たちは本番を想定したリハーサルを経て、およそ8カ月間の研究に基づく提言を発表。松本市役所からは関連する5つもの部課から代表者10名が出席してゼミ生たちの提言に耳を傾け、意見交換も行なわれました。
初年度の「松本編」は今回が最終回です。ゼミ生たちを指導し、松本市役所への提言をまとめた野田さんに、水場を憩いの場にするための政策内容とその意義について総括していただきます。

野田 岳仁

法政大学 現代福祉学部 准教授
野田 岳仁(のだ たけひと)

1981年岐阜県関市生まれ。2015年3月早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。2019年4月より現職。専門は社会学(環境社会学・地域社会学・観光社会学)。

法政大学多摩キャンパスで実施した合同ゼミ(2021年12月17日)。間近に迫った松本市役所への「政策提言発表会」を見据え、本番と同じ時間配分でリハーサルを行なった

法政大学多摩キャンパスで実施した合同ゼミ(2021年12月17日)。
間近に迫った松本市役所への「政策提言発表会」を見据え、本番と同じ時間配分でリハーサルを行なった

松本市に対する政策提言の狙い

年の瀬の迫る2021年12月23日に松本市役所にて政策提言発表会が行なわれた。そこで、5月からおよそ8カ月間かけて、学生12名とミツカン若手社員3名とともに考えてきた研究成果および政策提言を松本市の政策担当者に発表し、意見交換する場をいただいた。

今回は、松本市への政策提言の内容とその政策的な意味について論じていきたい。

内容に入る前に、私たちの研究の課題と政策提言の狙いについて確認しておこう。私たちの研究の課題は、どうすれば水場を「憩いの場」にできるのか、というものであった(背景については69号参照)。これは松本市政の方向性とも呼応したものだ。

2021年8月に策定された松本市総合計画(基本構想2030・第11次基本計画)の基本施策5-7「緑を活かした魅力あるまちづくり」にみる。そこでは、「河川や井戸など、市民に身近な水辺を活かした憩いと安らぎの空間の創出が求められています」と現状と課題を示したうえで、「中心市街地において身近で貴重な自然環境である女鳥羽川(めとばがわ)、薄川(すすきがわ)などの河川や井戸などを、まちの賑わい創出に繋げ、水辺を活かしたまちづくりに取り組みます」と宣言している。やや抽象的な表現ではあるが、松本市は水場の整備を地域再生につなげる方針を掲げているのである。

松本市だけでなく、環境省による名水百選の選定地のほとんどで井戸や湧水などの水場の整備を地域再生につなげる試みが生まれはじめている。数ある名水のまちのなかで、松本市は「公」の井戸(以下、公共井戸)整備のトップランナーだが、さらに一歩前進して水場の整備をどのように地域再生につなげるかに注目を集める自治体なのである。

そこで私たちは、松本市が整備してきた公共井戸に焦点を絞り、どうすれば水場を「憩いの場」にすることができるのか、その政策的なヒントを提示することを目指した。

そのために、私たちは公共井戸のなかでも際立った存在感を放っていた「源智(げんち)の井戸」、「槻井泉(つきいずみ)神社の湧水」、「鯛萬(たいまん)の井戸」の3つの井戸に焦点をあてて調査を行うことにしたのである。

夏の5日間の調査の結果、大きな課題が見つかったのは「源智の井戸」である。存続の岐路に立っているといっても過言ではない状況下にあり、その政策的対応の方向性を示すことにした。

その一方で、「槻井泉神社の湧水」と「鯛萬の井戸」は、地域の「憩いの場」として機能しており、松本市の目指す成功事例と位置づけた。そこで、なぜ「憩いの場」になっているのかを明らかにすることにした。

まずは、これらの3つの井戸の調査から得られた知見と個別の政策提言の内容についてみていくことにしよう。

  • 松本市役所で実施した「政策提言発表会」

    松本市役所で実施した「政策提言発表会」

  • 法政大学現代福祉学部准教授の野田岳仁さん

    法政大学現代福祉学部准教授の野田岳仁さん

  • 法政大学野田ゼミの学生たち

    法政大学野田ゼミの学生たち

  • 松本市総合戦略室長の近藤 潔さん

    松本市総合戦略室長の近藤 潔さん

  • 総合戦略室の鈴木絵理さん。「政策提言発表会」は総合戦略室の方々のご協力で実現した

    総合戦略室の鈴木絵理さん。「政策提言発表会」は総合戦略室の方々のご協力で実現した

  • お城まちなみ創造本部の岩渕 省さん

    お城まちなみ創造本部の岩渕 省さん

  • 環境・地域エネルギー課の大野正幸さん

    環境・地域エネルギー課の大野正幸さん

  • 都市計画課長の神戸 順さん

    都市計画課長の神戸 順さん

  • 文化財課の朝倉一樹さん

    文化財課の朝倉一樹さん

存続の岐路に立つ源智の井戸

松本市特別史跡で文化財として知られ、1日に200人を超える利用者が集う「源智の井戸」は、「憩いの場」とは程遠い現実がある。利用者が競い合って水を汲むような緊張した空気が流れており、居心地のよさは感じられず学生たちも戸惑いを隠せなかった。調査と分析を通じてわかったことは次の3点である。

❶管理組織の弱体化

日常的な管理を担う「源智の井戸を守る会(以下、守る会)」は会員数の減少と高齢化によって月2回の掃除が精一杯であり、このままでは近い将来に管理者不在になると当事者でさえも危機感を持っている。

❷水質の悪化が懸念されること

「源智の井戸」は、井筒(いづつ)(注1)を網状の木枠で囲む形状となっている。たしかに文化財らしく見栄えがよい。けれども、守る会がいうように管理者の立場からみるとなんとも掃除がしにくいものだ。掃除するにも木枠が邪魔になるからである(木枠は恒常的に外せず、4年に1回業者が外して水槽内を清掃する)。水槽内には1週間もすれば藻が生えてくる。実際に水槽内や汲み出し口には恒常的に藻が繁殖している。利用者は水槽内に関心がないため、これに気づいていないが可視化されれば利用者は激減するかもしれない。

❸文化財ではなく、単なる水汲み場となっていること

驚いたことだが、利用者は「文化財」であることや歴史的価値があることに惹かれて利用しているわけではなかった。これでは守る会の人びとの落胆する気持ちも理解できよう。つまり、行政も地元住民も文化財であることに誇りを持っていたはずなのだが、それに価値を感じている利用者はほとんどいないのだ。

では、この先どうすればいいのだろうか。「憩いの場」を目指すべきか、それとも水汲み場を安定的に維持できるしくみをつくるべきか。延べ266人からの聞きとりデータをもとに、「憩いの場」を目指す前に、まずは水汲み場として維持管理できる体制を構築することが急務であると学生たちは考えた。結論を先取りすれば、水場の利用者に管理を部分的に担ってもらうしくみづくりの提言である。

(注1)井筒
井戸の地上部分に設けた円筒状あるいは方形の囲みのこと。

「源智の井戸」聞き取り調査結果 提供:源智の井戸チーム

提供:源智の井戸チーム

返礼行為として掃除する規範の存在

調査をしていると、ある婦人の行動が目に入った。水を汲んだ後にデッキブラシで掃除をしたり、自前のタオルで井筒を拭く姿である。聞き取りをしてみると、井戸の利用に感謝しており、「お礼の気持ち」で掃除をしているのだという。また同様に「お礼の気持ち」で水神様にお賽銭(さいせん)を供える人もいた。

このような返礼行為は理念や義務感でやっているものではないため無理がなく、持続性のヒントになりうる。すなわち、返礼行為として掃除をする規範を根づかせるようなしくみづくりを考えられないか、そう考えたのだ。この婦人のように利用者が「お礼の気持ち」を体現できるよう掃除をしやすい環境を整えようという提言なのである。

利用者のほとんどはいわゆるフリーライダー(注2)だが、限られた聞き取りではあるものの、実は「お礼の気持ち」を持っていてその気持ちを体現する方法として、掃除をしてもよいと話す利用者は半数以上あり、利用者が管理の担い手になりうる可能性は少なくない。

そもそも地域に根づいている共同の水場とは、本来、利用者と管理者が一致しているものだ。その場合の水の利用料は無料であるが、誰もが利用できるかといえば決してそうではなかった。本来は、掃除を担う者だけが利用できる排他的なしくみとなっているのである。

どういうことかといえば、水の利用権は管理義務(掃除)とセットになっているのである。日常的な掃除をする者だけが井戸の利用権を得ていたのである。

都会に暮らす私たちの普段の暮らしでは、上水道を利用したり、コンビニでミネラルウオーターを購入することがあるが、それは水の利用権をお金で買っていることと同義である。それが地域の水場になると、水の利用権を貨幣ではなく、掃除という「労働」で交換していることになる。このような地域の水場の持つ本来的なしくみを呼び込もうとするアイディアなのである。

まとめると次のようになる。「源智の井戸」の利用者は1日200人を超える一方で、85歳以上の男性わずか5人が月に2回の掃除を担うというアンバランスな利用と管理のしくみとなっている。

提言は、守る会の負担軽減を狙い、水場の利用者に掃除するという規範を根づかせるしくみをつくろうというものである。一時的な利用者はフリーライダーでも構わないだろう。しかし、定期的な利用者は同じ利用者が水を汲んだ後に掃除をする姿をみるうちに、自分も掃除しなければという気持ちが芽生えるようになるはずだ。そのような規範を少しずつ根づかせようというのが提言のポイントである。

そのためには、管理者目線に立ち、誰もが掃除しやすいように、井筒上部の木枠を外したり、水槽内の石を取り除いたり、掃除道具類を充実させることも必要となろう。

利用者に規範が根づく頃には、守る会の負担も軽減され、以前のような活気が戻っているかもしれない。それが実現できて初めてその先の「憩いの場」への道が開かれるだろう。早急な対応が求められる。

(注2)フリーライダー
必要とされる経済的・時間的・労力的コストを負担せず便益やサービスのみを得る人。

  • 「源智の井戸チーム」発表者の晴山拓朗さん

    「源智の井戸チーム」発表者の晴山拓朗さん

  • 「槻井泉神社の湧水チーム」発表者の田中珠李さん

    「槻井泉神社の湧水チーム」発表者の田中珠李さん

  • 「鯛萬の井戸チーム」発表者の佐藤 雅さん

    「鯛萬の井戸チーム」発表者の佐藤 雅さん

槻井泉神社の湧水と鯛萬の井戸における居心地のよさ

「槻井泉神社の湧水」と「鯛萬の井戸」は、地域の「憩いの場」として機能している。人びとが思わず利用したくなるような居心地のよさの正体とはなにかを探ることにした。前号(69号)でくわしく論じたことが提案の骨格となっている。共通することは、法的な所有権はなくとも、管理を担う人びとや組織が「所有意識」を持って対象に働きつづけていることだ。

「槻井泉神社の湧水」では、地元町会の清水西町会による利用と管理にかかわる歴史的な働きかけのうえに居心地のよさが醸成されていることが明らかとなった。清水西町会は60年もの間絶え間なく、「区民だより(町会の広報紙)」を発行していたり、町会内に文化部を持つきわめてユニークな町会である。湧水のある空間は、御神木である欅(けやき)があり、水神が祀られ、公民館が併設されている。この空間一帯が地域のシンボル的な場所であり、人びとの精神的なよりどころでありつづけてきた。

松本市はこれまで公共井戸の整備に力を入れてきた。それは高く評価されるものである。しかし、「憩いの場」づくりを目指すのであれば、従来のハード面の整備だけでは不十分であり、町会に働きかけたり、町会活動を支援するなどソフト面の政策への転換を求める提言をまとめた。

現在、松本市役所内では公共井戸の管理を担当する部局は複数にまたがっており、それらを束ね、横串をいかに刺せるかがポイントとなろう。その役割を担う組織として総合戦略局に期待がかかる。

一方で、「鯛萬の井戸」では、町会は関与せず、有志の3人の管理者による規範意識に支えられていることが調査で明らかとなった。

管理者の大野幸俊さんによれば、井戸掃除とは「人の命を預かっていること」と同義であるため、「水を守ること以上に人を守ること」を意識した掃除が求められると話してくれた。

水槽内には藻が生えないように衛生的に管理されており、利用者は安心して飲用できる。さらに、水を汲む際に足を滑らせたり、水遊びをする子どもが怪我をしないように、利用者の安全にも配慮され、水場の隅々まで掃除が行き届いている。「憩いの場」の日常的な管理者には、こうした規範意識が求められ、責任ある役割を担っていることを私は教えられた。

管理者はわずか3人と聞けば、脆弱な管理体制にみえるかもしれない。しかし、単に労働力として人員を補強すれば問題は解決されるわけでない。居心地のよさをつくりだす管理者の規範意識をしっかりと共有し、引き継いでいかなければ、「憩いの場」は決して維持できないであろう。

  • 政策提言「どうすれば水場を『憩いの場』にできるのか?」の骨子

    提供:野田岳仁さん

水場を「憩いの場」にする2つの方法

これらの事例の分析から、水場を「憩いの場」にするには、2つの方法があることが示された。1つは、町会という地元コミュニティによる働きかけが有効であることだ。もう1つは、組織的な関与が困難だとしても、規範意識を持つ有志を育てることができれば、居心地のよい空間はつくりだせそうだということである。松本市内にはひと気のない公共井戸は数多く残されているが、この2つの方法であれば、どの井戸にも応用できる可能性がある。

当該井戸と周辺の人や組織の条件に合わせて、打つ手を変えていけばよい。町会活動が活発でなくとも婦人会や老人会が頼りになる地域もあるだろうし、小学校区まで視野を広げたり、商店街組織も担い手となりうるものだ。組織的関与が難しい場合でも、水場に愛着を持つ人はきっといるはずだ。まずは少数の有志でスタートしてみてはどうだろうか。いずれも長い目でみる必要がある。

松本市には、水場を「憩いの場」にするために、❶地元コミュニティ(町会)を育てること、❷規範意識を持つ有志を育てること。すなわち、水場を支える人と組織を支援する政策を打つことを提言したいのである。

水場を「憩いの場」にしようと考えれば、真っ先に管理組織や地元コミュニティの弱体化が目につくかもしれない。しかし、労働力の補充として外部のボランティアを動員したり、業者に委託するような方法はむしろ「憩いの場」から遠ざけることになりかねない。

管理の担い手をいかに増やすかという発想から、地元町会や有志をどのように育てていくか、発想の転換が求められよう。

松本市からの意見・感想

野田さんとゼミ生たちが政策を提言したあと、松本市役所の方々との質疑応答に移りました。関連する5つの部課の代表者が意見や感想を述べてくださったので、その一部をご紹介します。

「早朝に井戸を掃除している人にはなかなか気づかない。だから共感や活動の輪が広がりにくいのかもしれません。例えば雪かきも近所の人がやりはじめたのを見て、一人また一人と増えていきますよね。コミュニティを活性化する有志を育てるには、『がんばっている人の姿』が周りの人に伝わるようなしくみが必要だと思いました」(お城まちなみ創造本部)

「耳の痛いお話もありましたが、過去にここまで踏み込んだ内容の報告はなかったと思います。しかも、それぞれの井戸の特性までしっかり調査なさっている。雰囲気としてわかっていたつもりでも、数値化して提示されると確かなものになる。参考にさせていただきます」(文化財課)

「コミュニティの希薄化や地域活動の縮小は全市的な課題ですが、井戸という存在はそれらを活性化する可能性があると感じました。また、『井戸を守ることは人を守ること』という価値観を伝えていくことは、行政だけでは難しいですが取り組まなければならないことです。地域の皆さんと一緒に一つずつ考えていきます」(総合戦略室)

今回の政策提言が、行政と市民との協働などに活かされることを願っています。

公共井戸のあり方の問い直し

初年度の連載では、長野県松本市をフィールドに「公」の井戸のあり方について考えてきた。

松本市が目指す「憩いの場」のモデルであると私たちが考えた「槻井泉神社の湧水」や「鯛萬の井戸」の2つの事例に共通していたことは、管理者が法的な所有権を持たなくても、「町会の井戸」という誇りと責任感に裏打ちされた「所有意識」を持っていることであった。地域の「憩いの場」になるように掃除を含めたさまざまな働きかけの結果として、すべての人びとにとっても居心地のよい空間となっているのである。

近年、地域空間を「公・共・私」と区分する発想が社会科学や行政機関のなかでみられるようになってきた。「公」とは国や地方自治体が所有・管理する空間である。「共」は地元コミュニティなど地元住民が共同で所有(占有)したり、管理する空間を指す。「私」は住民個人や民間企業などが私的に所有・管理する空間である。このなかで政策的には特に「共」への関心が高まりつつある。地元コミュニティや地元住民の主体的な管理のもと行なわれているまちづくりや環境保全活動の実効性が高いことが広く認識されるようになっているからだ。

公共井戸は、三分類のなかで「公」に属するものと考えられる。しかし、驚くことに、「憩いの場」となっていた2つの水場では、所有権を保持していなくとも、地元町会や有志の住民が「所有意識」を持って水場空間を占有し、日常的に管理することで、誰もが居心地のよい空間になっていたのである。

すなわち、この2つの水場は「共」の空間となっていることが、結果的にすべての人びとにとっても憩いと安らぎの空間となっていたのだ。

公共井戸のコンセプトとは「公=すべての人びとのもの」ということだ。なんとも耳あたりのよい言葉だが、裏を返せば「誰のものでもない」ということである。ひと気のない井戸は、地元の関与がなく、誰のものでもないから価値中立的で味気ないのである。

「憩いの場」を実現するには、まずは「共」の空間としての充実化こそを目指していくべきであろう。その結果として、すべての人びとが安心して利用できる公共的な「憩いの場」を体現できるのではないだろうか。

2030年までに松本市の多くの公共井戸が「憩いの場」となるよう、ときには伴走者として、ともに歩んでいきたい。

最後に、コロナ禍にもかかわらず、調査にご協力をいただいた「源智の井戸」、「槻井泉神社の湧水」、「鯛萬の井戸」の利用者および管理者の皆さま、政策提言の機会をいただいた松本市役所の皆さまに心からお礼を申し上げる。

提言発表会後の学生たち。充実感と開放感から晴れ晴れとした表情だった

提言発表会後の学生たち。充実感と開放感から晴れ晴れとした表情だった

政策提言の詳細はHPで公開

編集部が野田さんと松本市を訪ねたのは2021年4月中旬。ゼミ生たちとリモートで初めて顔を合わせたのが5月でした。そこから井戸ごとに仮説を立て、実際にフィールドワークを行ない、秋以降の討議を経てゼミ生12名+ミツカン若手社員3名は12月の政策提言発表会に臨みました。

この間およそ8カ月。若者たちは松本市の公共井戸と地域の関係を踏まえ、水場を憩いの場とするためにどうしたらよいのかを考えつづけました。スムーズに進むかと思われたグループが思わぬところで躓き、野田さんと他のグループの助言で提言を再構築するなど、指導にあたった野田さんも含め全員がぎりぎりまで力を振り絞りました。

政策提言発表会は松本市役所がプレスリリースを配信したこともあり、報道記者も同席して実施されました。その様子は地方紙などのいくつかのメディアで取り上げられています。

誌面ではお伝えしきれなかった野田さんとゼミ生たちがまとめた政策提言の詳細は、2022年3月下旬に当センターのHPで公開する予定です。また、提言を終えて成長したゼミ生たちの姿も掲載しますので、興味のある方はぜひご覧ください。

そして今、「みず・ひと・まちの未来モデル」の2年目について構想中です。今度はどんな地域で、どのような着眼点で取り組むのか?ご期待ください。

(2021年12月23日取材)

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