ミツカン水の文化センターでは、2017年より新たなイベント「発見!水の文化」をスタートさせました。これまで開催していた「里川文化塾」よりも、より身近で気軽な企画内容を取り揃え、多くの方に興味を持って参加していただければと考えています。 今回は、昨年残念ながら台風で中止になってしまった企画をついに開催。 晴天に恵まれたゴールデンウィーク初日。開発が進んでいる東京の臨海部の歴史・文化的背景について学びながら、これからどのように変わっていこうとしているのかを水面側から発見しました。
一般社団法人 まちふね みらい塾 専務理事
阿部 彰(あべ あきら)さん
建築家・都市環境プランナー 山下寿郎建築設計事務所(現・山下設計)、日本設計事務所(現・日本設計)などを経て1978年A+A総合計画事務所を設立し、代表取締役就任。霞が関ビル、三井記念病院、新宿三井ビル、古河市役所などを手がける。都心の水辺再生についても長年取り組んでおり、2014年に まちふね みらい塾 専務理事に就任。千葉大学工学部都市環境システム学科非常勤特任講師、法政大学エコ地域デザイン研究センター研究員、日本橋川・亀島川流域連絡会 副座長などを務める。
一般社団法人 まちふね みらい塾 代表理事
高松 巌(たかまつ いわお)さん
法政大学エコ地域デザイン研究センター研究員 1946年、東京都中央区八丁堀生まれ。東京教育大学文学部哲学科卒業後、東京都入都。都市計画局参事(首都圏新都市鉄道企画部長)、建設局総合調整担当部長、港湾局臨海開発部長、産業労働局観光部長などを経て2005年に退職。八千代エンジニヤリング株式会社顧問、東京都公園協会公益水辺事業部長などを歴任。2014年から現職。
今回、前半は日本橋から日本橋川を遡り後楽園の辺りで右折。神田川に入り、伊達家が一大工事を行った御茶ノ水渓谷や、秋葉原を経由し、柳橋を潜って隅田川に出ました。
川端の石垣に江戸の痕跡を見つけ、数々の橋を下から見上げたり、普段何気なく訪れている東京の街を川から眺めたり、都会に残された渓谷の自然に驚いたりと、新鮮なシーンがたくさんありました。
隅田川に出てから、いよいよ東京の臨海部へ向かいます。
もともと、江戸の魚市場「魚河岸」は出発地点である日本橋の北岸にありました。徳川家康が江戸開幕時に摂津の国から招いた漁民達が「佃島」に移り住み、当時の進んだ上方の技術で捕らえた魚を幕府や大名に献上し、残った魚介類を幕府の許しを得て市中の人々に販売したのが始まりです。
17世紀の初めに開設され、関東大震災の被災を受け1935年に築地市場への移転するまで、300年以上にわたり江戸と東京の人びとの食生活を支えつづけました。
当時の物流は船の力を使った舟運であったため、漁場から運び込み易い日本橋の北岸は絶好のロケーションでした。
築地市場には、旧汐留駅から引き込線を通して貨物で、また隅田川岸壁の桟橋から船で、生鮮食料品が運ばれてきました。舟運だけでなく、新たに主流となった物流システム「鉄道」網からも便利であったため、この辺りが日本橋からの魚市場の移転地として選ばれたのです。市場は迅速・公正な取引を展開し、取引の結果を公表して価格を安定させ、市民生活を支える大きな力となりました。
そして、この築地から次の移転地として決まっている豊洲市場についても、船の上から眺めることができました。
最後に、船は2020年に向けて開発が進む臨海部エリアへ。まだまだ建設中の建物ばかりのため、完成図を横目で見ながら各自で2020年の姿を想像しながらの見学となりましたが、活発に開発が進む現在の東京臨海部の様子を肌で感じることができました。
オリンピック会場一覧|東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
2020年までに完成予定の建築物のイメージは、こちらでご覧下さい。