鳥越皓之・嘉田由紀子・陣内秀信・沖大幹 編
ミツカン水の文化センター 企画
新曜社 発行
2006年11月
46判並製280頁/定価2,310円(税込)
ミツカン水の文化センターでは、2003年度(平成15)の水の文化交流フォーラム「なぜ いま 里川なのか」及び、同年10月発行の機関誌15号『里川の構想』において、「里川」というコンセプトを提起し、「里川」研究活動を続けてきました。
里川とは使いながら守る「水の流れ」。里山をもじった造語です。「ふるさとの小川」だけを指すのではなく、私たちの身近にある流れ、都会の川、街中の水路、水道の管の中まで広く含んだ概念で、3年間の里川研究の結果と今後の可能性を『里川の可能性』としてまとめました。
環境社会学・建築史・河川工学・環境経済学などの専門家が、人の暮らしと川との距離が隔たった現状を見直し、各地の里川と人の深い結びつきを調査した論考を寄せているほか、飲料水や農業などの〈利水〉、水害の被害を防ぐ〈治水〉だけでなく、川を地域の財産、愛着ある場として共有する〈守水〉の考え方を「里川宣言」として提案しています。
序 | いまなぜ里川なのか | 鳥越 皓之 |
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第1章 | 里川の意味と可能性 利用する者の立場から | 荒川 康+鳥越 皓之 |
第2章 | 里川と異質性社会 あらそう人びと、つながる人びと | 菅 豊 |
第3章 | 里川への経済学的アプローチ 矢作川の保全運動から | 太田 隆之+諸富 徹 |
対談 | 他者との対話から生まれる川の物語 | 平田 オリザ×嘉田 由紀子 |
第4章 | 半自然公物としての里川 千年持続する河川技術から考える | 沖 大幹 |
対談 | 川への思い入れが拡げる新たな公 | 島谷 幸宏×沖 大幹 |
第5章 | 流れから見たエコシティ | 難波 匡甫+陣内 秀信 |
対談 | 「まち川」が多様な人々を結びつける | 吉見 俊哉×陣内 秀信 |
第6章 | 書誌「里川」 | 古賀 邦雄 |
終章 | 里川を求める思想 川とつきあいたい理由 | 鳥越 皓之 |
里川宣言 | 利水・治水・守水の共有 里川プロジェクトチームの研究テーマ わたしの里川写真 里川を考えるためのブックガイド50 |
ミツカン水の文化センター |
陣内秀信・岡本哲志 編著
法政大学出版局 発行
2002年7月
A5判上製454頁+カラー口絵8頁/定価5,145円(税込)
ミツカン水の文化センターでは、1997年より、研究活動として「舟運から都市の水の文化を探る」というテーマを掲げ、法政大学工学部・陣内秀信教授とともに5年間活動してまいりました。研究内容については、当センターの発行する機関誌「水の文化」にて適宜報告を行なってまいりましたが、このほど、この研究活動を基とした書籍「水辺から都市を読む ~舟運で栄えた港町~」が法政大学出版局から刊行されました。
この研究では、日本の佐原に始まり、大阪、足羽川、最上川流域、瀬戸内海、伊勢湾などを起点に、アジア(中国・蘇州、タイ・バンコク)、ヨーロッパ(オランダ・アムステルダム、イタリア・ヴェネツィア 他)などにわたって、舟運によって発展した都市をたずね、徹底したフィールド調査を通して、往時の都市の構造、その豊かなネットワーク、今に続く活気にあふれた人びとの暮らしの営みなどを明らかにし、現代にそれを置き換えることで、新しい「水とひととの関わり」について提言するという目的でスタートしました。
本書では、数多くの調査した都市からいくつかを抽出し、水と結びついた都市の魅力の秘密に迫るとともに、「陸の側から」の発想に立つ 80年代のウォーターフロント再生を超えて、水・自然との共生による都市再生の方法、21世紀の港町のあり方を提言した「水の側から」の都市再発見を試みています。
第一部 | ヨーロッパ編 ── 水が彩る交易都市 オランダの港町 ── ホールン、アムステルダム イタリアの港町 ── ヴェネツィア、ブラーノ島、キオッジア、トレヴィーゾとシーレ川 |
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第二部 | アジア編 ── 現代に生きる水の都 中国・江南の水郷都市 ── 蘇州、江南の運河を巡る、周庄、同里 タイ・バンコクの水辺空間 ── バンコクの水文化を探る、元チャオプラヤー川を巡る、 百年前に開削された運河を行く、バンコク 水の都の城郭都市 |
第三部 | 日本編 ── 埋もれた魅力の再発見 瀬戸内海の港町 ── 庵治、尾道、鮴崎、御手洗、鞆、笠島、下津井、牛窓、柳井 伊勢湾の港町 ── 大湊、神社、伊勢湾横断クルージング、内海、大井、亀崎、半田 他 |