機関誌『水の文化』60号
水の守人

ご挨拶

ミツカン水の文化センター設立20周年 60号発行にあたり

ミツカン水の文化センター 代表
中埜 和英

 1999年に開始したミツカン水の文化センターの活動も本年で20年目を迎えました。当センターが今日まで活動を続けることができましたのも、ひとえに皆様からのご支援、ご指導あってのことと、深く感謝いたしております。

 ミツカングループは、文化元年(1804年)創業当初から、良質な醸造酢をつくるために、水道を敷設し、廻船で尾張半田から江戸まで食酢を運ぶなど、水と深いかかわりを持ってまいりました。そうした「水」の恩恵を受け、「水」によって育てられてきた企業として、「水」をテーマとした社会貢献活動を行うこととし、1999年にミツカン水の文化センターを設立いたしました。

 人の営みには、常に「水」が関係しており、人はあるときには「水」と闘い、あるときには「水」と共生しながら、自らの暮らしをつくり上げてきました。当センターでは、この人と水とのかかわりによって生み出されてきた、こうした生活様式を「水の文化」と捉えています。そしてさまざまな研究活動や情報交流活動を通じて「水の大切さ」をお知らせし、水に関する意識向上を図っていきたいと考え、活動してまいりました。

 当センターは設立以来、機関誌『水の文化』の発行、水にかかわる生活意識調査から始まり、生活者向けイベントの企画・運営など、水の現場を巡って体験し、水と人とのかかわりをより身近に感じてもらえる活動へと幅を広げてきました。

 水を取り巻く社会環境や人々の意識に目を移すと、水を巡る状況はこの20年で大きく変化しています。世界的にも資源やリスクの観点で水に対してますます関心が高まっています。国内では地下水が「持続可能な共有資源」と定められました。そして、水辺利用の規制緩和により水とともにある暮らしへの関心が高まる一方、東日本大震災による津波被害や昨今頻発する豪雨被害により、水の「脅威としての側面」も強く認識されるようになりました。

 ミツカン水の文化センターの活動は決して派手なものではございません。しかし、このような社会環境の変化を捉えながら、「水の大切さ」をお知らせし、水に関する意識向上を図るという設立当初からの目的からぶれることなく、今後も着実に続けていきたいと考えております。

 ミツカングループには、「やがて、いのちに変わるもの。」というグループビジョン・スローガンがあります。人のいのちの源である食品をつくっているという誇りと責任。そんな想いから生まれたことばです。当社がつくる食品にはたくさんの水が使われており、水への感謝の気持ちを日々新たにしています。

 この秋にミツカングループが発表しました「未来ビジョン宣言」の中にもこの想いは込められています。「自然を敬い、自然に学び、自然が生み出すいのちを育むことに貢献する」という宣言は、ミツカン水の文化センターの活動として脈脈と20年間積み重ねてきたことを今後も地道に続けていくこと、そして更に広げていくことも意味しております。実際に、ミツカングループの「水」にかかわる活動は日本ばかりでなく、イギリスやアメリカの拠点にも広がりつつあります。

 ミツカン水の文化センターは今後とも皆様とともに歩んで参ります。引き続きご支援、ご指導をいただきますよう、宜しくお願いいたします。

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