水が及ぼす浮力によって人やモノを運ぶ船は、鉄道や自動車、飛行機よりもずっと昔から、私たちの暮らしと社会を支えてきた。今日の文明は船があったからこそともいえる。
島国・日本が輸出入をほぼすべて船に頼っているように、船は今も重要だ。そして、大小の船を操る「船乗り(船員)たち」は、物理的にも心理的にも常に水と接しているし、水は船上で貴重なものだ。
船乗りたちの水に対する感覚や節水意識は、日常生活を陸上で過ごす私たちとやはり違うのだろうか? 海上での生活における水はどのような存在なのか。
主に外洋を舞台とする船乗りたちの水への向き合い方、そして海によって隔絶された船上におけるコミュニケーションや自然観を探る。
横浜港新港ふ頭5号岸壁に停泊する海技教育機構の練習船「海王丸」(撮影:川本聖哉)