人のいとなみの根源には常に“水”が存在してきました。
ある時には“水”と闘いある時には“水”と共生することで人は自らの「くらし」をつくりあげてきました。
この「人と水との関わり」によって生み出された生活様式や習慣を『水の文化』と呼ぶことができるでしょう。
いま、わたしたちの周囲では都市化が進み水の文化に関する認識が希薄になり“水”が人々から遠い存在になりつつあります。
そして、このことが、現在の“水”を取り巻く様々な問題の解決を困難にしている要因ともなっています。
しかし、一方では昨今の環境意識の高まりにより「安全でおいしい水」「くらしに潤いと安らぎを与える水」に対する人々の願いが増しつつあることも事実です。
ミツカングループは創業以来“水”の恩恵を受け“水”によって育てられてきた企業です。
『水の文化』の発展を願い『水の文化』の啓蒙活動や「水と人との付き合い方」の提案を通してゆたかなくらしの創造に貢献することを目的にミツカングループは「ミツカン水の文化センター」を設立いたします。
絵: 中埜酢店創業百八十周年記念誌編纂委員会編 『七人の又左衛門―風雪、ミツカン百八十年の跫音』1986年より
ミツカン水の文化センター代表
中埜 和英
当社では、「買う身になってまごころをこめて良い品を」という理念に基づいて事業活動を行い、社会的役割を果たしてまいりました。一方、社会の成熟化や国際化が一層進み、より豊かな社会を構築するための活動が期待されております。わたくしどもでは、これを企業による社会貢献活動だと考え、事業活動以外にも経営資源を活用し、企業理念である「さわやかライフへの貢献」の実現を目指し、社会貢献活動を行っていきたいと考えております。
この、「さわやかライフ」への貢献とは「人と人とのつながりを大切にした、健康的ですがすがしい社会とくらし」に貢献することを意味しております。
文化元年(1804年)創業の当初は、良質な醸造酢を作るために、私設水道を敷設したり廻船により尾張半田から江戸や大坂まで食酢を運ぶなど、水と深い関わりをもってまいりました。
さらには、現在、環境意識の高まりから人々の水に対する関心は非常に高くなっており、「安全でおいしい水」「くらしに潤いと安らぎを与える水」に対する人々の思いは急速に高まっています。こうした社会背景のもと、創業以来「水」の恩恵を受け、「水」によって育てられてきた当社が「水」をテーマとして選び、社会貢献活動を行うことは、非常に意義のあるものと考えております。
人の営みの根源には、常に「水」が関係しており、人はある時には「水」と闘い、ある時には「水」と共生しながら、自らの「くらし」をつくり上げてきました。この人と水との関わりによって生み出されてきた生活様式を「水の文化」と捉え、様々な研究活動や情報交流活動を通じて「水の大切さ」をお知らせし「水」に関する意識向上を図っていきたいと考えております。
これらを推進していく母体として「ミツカン水の文化センター」を設立し、1999(平成11)年1月26日にご披露し、活動を開始します。
「ミツカン水の文化センター」は、「水の文化」に関わる研究事業を行い、その成果を「出版」「イベント」「ライブラリー」などの事業を通して広く公開いたします。
「ミツカン水の文化センター」が「水と人との新しいつきあい方」の提案を通して、人々の豊かな暮らしの創造に貢献できれば幸いです。
「ミツカン水の文化センター」への、関係各位のご協力、ご指導をよろしくお願い申し上げます。