オランダは、日本にとって近代への扉であり西洋の玄関でもありました。
平戸で貿易を始めて400年が経とうとしていますし文明開化の時代には土木、水利の先進国として日本において技術指導の師となります。
水利技術の分野ではその影響は戦後にまで及びます。
ところが現在の日本では、オランダから受けた恩恵は案外、忘れ去られているのではないでしょうか。
チューリップと風車の国オランダと日本は水と向き合っている点で似ているに違いない。
こうした仮定が大雑把な思いこみであることがわかるにつけオランダとの距離を知らされます。
水を通してオランダの国づくり人づくりが浮かび上がるごとにコントロール型問題解決のためには彼らがどれだけの労力を払っているかに思い至りました。
多様な問題を表面に出し意見の違いを認め合いながら歩み寄るというシステムは想像を超えた水の脅威に対峙する中から生み出された「合意形成」への道程なのです。
この特集は、編集部が2004年6月に行なったオランダ取材報告をもとにしています。