「共生」というと難しく聞こえますが、結局のところ、問題にすべきはいつ、どこで、だれが、なにを、どのように敢えて言えば、Whom with?誰と共生するの? と考えていくと、自分の生き方に返ってきます。
『水の文化』は30号にわたって、水と人、人と人とのかかわりをテーマにしてきました。
それは結果として、共生を考えることにつながっています。
そして共生は幸福な生き方実現の鍵を握っているように思います。
人は等身大のことしか実現できません。
大それたことではなく各人が等身大のことを実行することで次世代に希望ある社会をバトンタッチしたいものです。
ミツカン水の文化センター代表
中埜又左エ門和英
1999年に開始した「ミツカン水の文化センター」の活動も、本年で10年目を迎えました。当センターが今日まで活動を続けることができましたのも、ひとえに皆様からのご支援・ご指導あってのことと、深く感謝いたしております。
当社は、文化元年(1804年)創業の当初から、良質な醸造酢をつくるために私設水道を敷設したり、廻船により尾張半田から江戸のほうまで食酢を運んだりと、水と深いかかわりを持ってまいりました。そうした「水」の恩恵を受け、「水」によって育てられてきた企業として、「水」をテーマとした社会貢献活動を行なうこととし、1999年に「ミツカン水の文化センター」を設立いたしました。
人の営みの根源には、常に「水」が関係しており、人はあるときには「水」と闘い、あるときには「水」と共生しながら、自らの「暮らし」をつくり上げてきました。当センターでは、この人と水とのかかわりによって生み出されてきた、こうした生活様式を「水の文化」と捉えています。そして、さまざまな研究活動や情報交流活動を通じて「水の大切さ」をお知らせし「水」に関する意識向上を図っていきたいと考え、活動をしてまいりました。
1999年の開始以来、当センターでは、「人間生活の実に多くの事柄が水とかかわりを持っています。水の大切さを思い起こし、大事な水に眼を向けましょう」と申し上げ続けてきました。そして、同じような思いを持つ企業さまや研究者の皆さま、市民の方々、行政関係者、そして特に若手の方々から応援をいただくことが多くなって参りました。特にこの4〜5年ほどは、さまざまな分野の方から、お声をおかけいただくことが多くなってきたと、実感しております。
水をめぐる状況は、この10年で、大きく変化してきております。地球環境問題の一つとして、水問題が取り上げられる機会も増え、「水は21世紀の死命を制するような資源である」という意識が、人々の間に浸透してきております。
「ミツカン水の文化センター」の活動は、水にかかわる生活意識調査、イベント、あるいは機関誌の発行など、決して派手なものではございません。しかし、着実に続けていくことを念頭に置いております。この数年の水への関心の高まりを考えますと、このような活動こそが、水から恩恵を受け続けてきた当社流の社会貢献活動ではないかと、思いを強くしている次第です。
「ミツカン水の文化センター」は今後ともみなさまとともに歩んで参ります。ご協力、ご指導をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。