機関誌『水の文化』55号
その先の藍へ

『水の文化』55号
その先の藍へ

水の文化 55号 その先の藍へ
2017年 2月

私たちの身のまわりにはさまざまな色がある。では「水」を色で表すと何色なのか。すぐに思い浮かぶのは「水色」だろう。水色は青系統の色だ。その青系統の色のなかでも、特に庶民の暮らしに多く用いられたのは藍色である。

明治時代の初めに日本を訪れたロバート・ウィリアム・アトキンソンが、藍色の衣服を身につけた日本人を数多く目にして、「ジャパン・ブルー」と称したのは有名な話だ。外国人の目に印象深く映った藍色は、日本人の生活を彩る代表的な色だったのだ。

あまり知られていないが、藍色には非常に多くの種類がある。今は藍色といえば濃いめの紺色をイメージするかもしれないが、「水色」「縹(はなだ)色」「甕覗(かめのぞ)き」「水浅葱(みずあさぎ)」といった淡い色も藍色の範疇に含まれる。

明治時代中期に合成藍が輸入されるまで、日本の藍色は蓼藍を発酵させてつくる「蒅(すくも)」という染料を用いて染められ、色の濃淡は染める回数などで調整していた。先人たちがさまざまな技術と工夫で多様な藍色を生み出したように、今も藍色にこだわったものづくりを続ける人たちがいる。藍色には日本人特有の何かがあるのだろうか。識者、そして藍をものづくりに活かしている現場を訪ね歩いた。

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「蒅」を用いた古来の方法で布を染める職人の手 (紺屋「日下田藍染工房」にて)

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