正義感の強い妖怪・鬼太郎がさまざまな妖怪と対決する漫画『ゲゲゲの鬼太郎』は、アニメ、映画なども制作され長い間親しまれてきた。最近ではゲームソフトがもとになった『妖怪ウォッチ』が子どもたちを中心に大人気だ。しかし、日本人にとって妖怪とはそもそもどのような存在だったのだろうか。
水辺の妖怪として代表的なのは河童だろう。今はきれいな水や水辺のシンボリックな存在となっているものの、かつては人間の尻子玉を抜くと恐れられた、どちらかというと怖い妖怪だった。河童をモチーフにした「ゆるキャラ」が多数生み出されている現代とは何が違うのか。
民俗学者の柳田國男(やなぎた くにお)は、妖怪を「普通の人々の心意伝承に迫る民俗資料」としてその研究を奨励した。妖怪は人間が想像(創造)したもの。ならば妖怪を研究することは、その当時の人間や社会を研究することにつながる。
河童が「怖い」から「かわいい」に変化したのは、私たち人間の側になにかしらの変化があったからだと考えられる。
かつて自然を恐れ、敬った日本人が生み出した妖怪。その変遷を、水辺も視野に入れてたどることで、自然観などの変化について考えていきたい。
妖怪はあらゆる場所にいるが、ここでは編集部が独断で選んだ 「水辺に現れる妖怪」を紹介しよう。あなたが気になる妖怪は……?
参考文献&Web
『身近な妖怪ハンドブック』(文一総合出版 2012)
『HUMAN vol.06「特集 日本の魑魅魍魎」』(平凡社 2014)
『知識ゼロからの妖怪入門』(幻冬舎 2015)
『決定版 日本の妖怪』(宝島社 2015)
国際日本文化研究センターHP「怪異・妖怪画像データベース」