水を始めとする液体を貯蔵、あるいは運ぶために使われてきた桶と樽。桶とは桶側(おけがわ)・箍(たが)・底板からなる木製の容器のことであり、樽はその桶に蓋を付けて密閉できるようにしたものだ。
江戸期の日本は世界でも有数の桶と樽の生産地であり、昭和初期まで人々の暮らしのみならず産業や経済を支えていたのは桶と樽だ。戦後、桶と樽はあまり使われなくなったが、今でも桶や樽にこだわる人は存在する。
持続可能性が求められる現代において、今なお使いつづけられる桶と樽の価値とはいったい何なのか。大型の貯水・貯蔵装置の視点から考えたい。
木桶がひしめくしょうゆのもろみ蔵。この蔵独特の生態系をつくるのに木桶の果たす役目は大きい(香川県・小豆島のヤマロク醤油にて)