日本は災害大国といわれる。堤防が決壊すると浸水してしまう低地に人口の約50%が住み、資産の75%が集中しているからである。古くから治水に投資しつづけ、また幾度もの災害を乗り越えることで、地域特有の備えや知恵も生まれた。
かつて水害が常態化していた時代、人々は水害を「わがこと」と捉えていたはずだ。河川改修などが進み水害は減ったが、それによって水害を始めとする防災への意識が薄れてしまったのではないか。
従来の観測記録を上回る短時間強雨が増え、台風も巨大化する兆しがあるなか、今こそみんな(社会全体)で備える必要がある。各地のさまざまな取り組みを見つめることによって、日本人の水害への備え、さらにそれを通じて、これからの防災について考えてみたい。
東京の東部を流れる中川と新中川の分岐点(提供:葛飾区)